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2023年11月17日

ふるさと発見コース 第9回講座 殿様に重用された漆職人 漆壺斎と勝軍木庵 ー花開く松江の漆文化ー

 ふるさと発見コースでは10月24日、松江歴史館に出かけ、学芸員の大多和弥生さんに漆塗りの文化や特徴などについて講義を受け、その後、特別展「漆壺斎と勝軍木庵」を説明を受けながら鑑賞しました。
 「漆」とは、ウルシ科の樹液を採取したもので、接着や塗装の用途に使われます。現在「漆」というと、チューブに入って販売されているものを言うことが一般的です。 日本産の漆は一回ずつ掻いて採取しているので品質が良く、価格も高くなっています。
 漆が「固まる」のは、空気中の酸素と結合するのであり、ペンキのように「乾く」のではないのだそうです。 チューブから出したての漆は赤みがかった黄土色でしたが、講義と見学が終わった一時間半後には表面が茶色がかった黒に変っていました。
 漆塗りには何段階も工程があり、油と漆を混ぜたものを染み込ませる「木固め」、麻布や絹を貼る「布着せ」、「塗り」の工程も乾いたら塗るの繰り返しで、全体で9段階にもなります。 次第に色が変化していく色見本を見せてもらいました。
 画像で、正倉院にある平安時代の蒔絵の作品から、様々な大きさの金粉で表現する「高台寺蒔絵」まで、蒔絵技法の移り変わりを学びました。 初めは粒が粗かった金粉も、精製技術が発達し粒が細かくなることで山水を描いて遠近感を表現できるようになり、いろいろな大きさの金粉を用いて様々な細かい表現が出来るようになりました。 蒔絵の技法はその後更に発展して江戸時代初期には最高の域に達しました。
 展示中の作品についても説明を受けました。 7代漆壺斎の吹雪「星雲」は細かく薄い金粉を蒔いてぎらぎらとした感じにし、その上にオレンジがかった漆を塗ることできらきら輝いた表現になっています。 勝軍木庵の「蒔絵手箱」は小さい模様に見える鳥のポーズが一羽ごとに違っていたり、金粉の大きさが様々で、「ふりかけた」のでなく一つずつ「置いた」ものだったりと細かい所を拡大しないと分からないほどの技法が用いられています。
 講座の後、特別展の会場に移動し、説明を受けた作品の実物を興味深く鑑賞しました。
 不昧公は、漆壺斎だけでなくお抱えの職人にいくつもお好みの茶器の写しを造らせて、松江藩の職人の技術を向上させました。 不昧公のおかげで松江の工芸は発展したとも言えます。
 
  • 漆を採った木
    漆を採った木
  • チューブから出してすぐの漆 右が日本産
    チューブから出してすぐの漆 右が日本産
  • 漆塗りの工程を表す見本の板
    漆塗りの工程を表す見本の板
  • 7代漆壺斎作吹雪「星雲」
    7代漆壺斎作吹雪「星雲」
  • 勝軍木庵作「蒔絵手箱」
    勝軍木庵作「蒔絵手箱」
  • 「蒔絵手箱」拡大
    「蒔絵手箱」拡大
  • 時間がたって固まった漆
    時間がたって固まった漆